オフビートカウントとは
はじめに
オフビートカウントという英語脳インストーラー ─── この項では、オフビートカウント理論の概論を説明します。オフビートカウントとは『声を出して英語でカウントする ─── 但しカウントする際に半拍早くカウントする』というとても単純な実践練習方法です。この練習方法を続けるとグルーヴ能力(楽器や歌唱などで魅力的の根源となるリズム技法)が大幅に向上します。そして開発時には予想されなかった副作用として、英語のリスニング能力が向上するという歓迎すべき副作用があったのです。
このたった『半拍早く数える』というごく小さな違いには外からは見えない驚くべき奥深さがそこに存在します。習得にはしばしば長い長い年月が必要です。 オフビートカウントとは何でしょうか。そして何故生まれたのでしょうか。オフビートカウント及び、オフビートカウントを構成する6つの理論との関係を説明します。
オフビートカウントの歴史
オフビートカウントは、リズムペディアの筆者である岡敦が2018年ごろに考案した練習方法です。岡敦は2005年ごろから東南アジアの僻地を12年間放浪し、その成果としてタイ東北イサーン方言=ラオ語が話せる様になりました。日本に帰国した後にクリス・コールマンのMIでのクリニックのビデオを見てリズムトレーニングに声出しカウント練習がとてもよいことに気付きました。声出しカウント練習は、グルーヴをとても的確に身につけることができるとても良い練習方法でした。グルーヴは、魅力的な演奏を安定的に実現する最も基礎的な能力ですが、グルーヴを確実に身につけるための練習方法を提唱した人はいませんでした。
ところが岡敦は、リズムのほとんどが弱拍の強調で出来ているジャズのリズムでこの声出しカウント練習を行うと、演奏するほとんど全ての音符が「アンド」になってしまうのでカウントがしにくいことに気付いたのです。そこで試行錯誤しているなかで8分音符1つ早い方向にずらしてカウントすることで問題に対処できることに気付いたことが最初の始まりでした。
このオフビートカウントは発明されたその後の8年間でジャズ以外の様々な音楽でも応用ができるように拡張され、数え方のバリエーションは50種類近くになりました。 これらの複雑化した数え方を理論化したうえで体系化したものが今のオフビートカウントです。
2018年の発明後、2020年にコロナ禍が始まりました。2020年までの岡敦は、海外放浪に戻る予定でしたが、コロナ禍とぶつかって海外への移動が難しくなったこともあり、国内に留まることになりました。
コロナ禍では音楽活動はおろか国内での移動も大きく制限されましたが、そんななかで、関東一円で幅広く演奏活動を行っていた佐野大介氏の協賛を得ました。佐野大介氏の助力により定期的にオフビートカウント練習会を開催することが実現しました。この練習会を母体としてオフビートカウントは大きく発展しました。その後オフビートカウントは関東近郊で本物のグルーヴを演奏するという高い志を持った人々のあいだで知名度があがり、2024年には定期的にインターネット上で集結した有志によって、オフビートカウントワークショップを開催するという活動も行いました。
2025年5月、これまでに大きく発展し複雑化したオフビートカウントを整理して理論化し、更に習得しやすい様に体系化する作業が始まりました。 2025年オフビートカウント理論は、ウェブサイトリズムペディア.com でオンライン書籍として公開されました。
オフビートカウント理論と音韻学との関連性
岡敦は、オフビートカウントを研究するなかで、徐々にオフビートカウント練習と英語の発音能力との関連に気付いてきました。オフビートカウントを学んだ人々のあいだで、気付かないうちに英語の聴き取り能力が向上していくことを経験的に気付いたからです。これは必ずしもプラシボ効果ではありませんでした。 ─── 主に英語の発音を研究する 音韻学(Phonology) という語学の一分野があります。音韻学は、海外では盛んに研究されているものの、日本ではほとんどその存在が知られていません。2025年に、この音韻学を紐解くことにより、オフビートカウントの効果は理論的に裏付けが取れることが明らかになりました。
音韻学的な見地から見ると、オフビートカウントは、日本語のモーラ拍リズムという言語リズム認識と、英語等のストレス拍リズム という言語リズム認識とを切り換える為の練習と見ることが出来ます。日本語のモーラ拍リズム認識の人にとって、半拍早く数える事は驚くほど高い困難を伴います。半拍早く数えるという動作は正に、モーラ拍リズムにないストレス拍リズムという言語リズム認識の違いの本質を中心で射抜いています。
オフビートカウントは、音楽のグルーヴと英語のストレス拍リズムが、一つのつながった理論系であることを明らかにします。このことを今後見ていきます。
オフビートカウント理論の6つの副理論
オフビートカウントは、実際にやってみるととても難しいことがわかります。オフビートカウント・ワークショップで
日本語のモーラ拍リズムの感覚の人にとって、半拍数えるということは驚く程の高い困難が伴います。
この困難をどうやったら確実に早く克服するかを考察した結果5つの理論が生まれました。